始めるにあたり、なんらかのコーチが必要である、また用具を取り揃える必要がある、というのはトライアスロンの特徴であり、それは初心者がこのスポーツを始めるにあたってのハードルであることは間違いないと思う。これがマラソンであれば、適当な入門書を購入し、自分でウエアとシューズを選び、自分でレッスンプログラムを組んでも42.195キロの大会に出ることは努力次第で可能となろう。しかしトライアスロンはそうはいかない(と58歳で始める私は思った)。順天堂大学の野川春夫先生も「トライアスロンはむしろ高年齢者に適したスポーツ。というのはお金もかかれば時間もかかる」とおっしゃっていたが、はい、同感です。
そこで、今回のご紹介は用具の購入。何かを購入するに際し、一つ一つ自ら調べ、吟味して決めていく方法もある。一方、誰か信頼できると思った人に、最終的にはもちろん自分が決めるにしろ、お願いする方法がある。今回私がとった方法は後者。アスロニアにお願いすることにした。例えば自転車。楽天で出物を探す方法もあろうが、こちらには探す基準がない。またどうせ買うならメンテナンスも含めてお願いできるところが良い。
岩田コーチから既に連絡がいっており、アスロニアの鈴木さんと遠藤さんにご対応いただいた。鈴木さんは素敵な女性で、自然な感覚で明るく気遣ってくれる方。一人ものにはこうした気遣いがなんともうれしい。遠藤さんは(あとで知ったが)その道では高名な方で、バイクのスペシャリスト。対応はダイゴを思わせる(失礼!)脱力系と感じたが、とても知的で合理的な説明で親切。「よしこの方々にお任せしましょう」と即座に直感した。その直感はいまのところあたっている。お二方とも今後ともよろしく!
そこで、何が必要になるのか。やはり第一はバイク。遠藤さんには「値段は最も安く実用性重視」とお願いして、選んだバイクはOrbes Onixで255,238円。スペイン製とか。これがどの程度のものなのか、私自身で判断するには、あと5年はかかると思っている。
でもそればかりじゃあないんだなあ、これが。バイクについては、ウエア、ヘルメット、専用シューズ、空気入れ、パンクに備えてスペアタイヤ、スペアタイヤ用空気入れ、グローブが必要になる。それに加えて、スポーツ用サングラス、近視の度が入った水泳メガネ、その他小物を合わせて、約43万2千円の買い物となった。私としては、すくなくともこの20年で、自動車を除いて、最高額の買い物だね。
ああ。こうなるともう理性的な判断はない。「いきましょうよ」の勢いだけ。少なくとも、女房が生きていたらこんなことはできない。「43万? 二人でハワイにいけるじゃん。何考えてるのよ」となるに間違いはない。こういうときに亡くした欠落感が襲ってくる。バイクが25万したと次女に言ったら「一生やらなくちゃ元がとれないでしょ。一回の大会出場で満足しないで」と突っ込まれた。はい、そのとおりです。
海水パンツと水泳キャップについては、このぐらいは安くいこうと、なんとなく近くのイトーヨーカドーで揃えて、気が済んだ気がしたのが我ながらいじましいなあ。
これにレッスン料金などを加えると、まだ想定できないことも多いが、58歳の未経験者が初めてのレースに出るまでには、ざっとみて50万はかかるだろうというのが私の認識。それで週3回のレッスンなのだから、野川先生がいうのは納得。お金と時間が確かにかかる。
この夏を 越えてみれるか 四十万
残りの命 励んでみろと 蝉時雨
43万の金額も励みの材料になるというのが、人間は恐ろしい。自己正当化の思い入れこそ明日への力となるような気がしてくる。これはあまり私好みの発想ではないのだが、そうなってしまうんだなあ、悲しいかな。
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