行ってきました。鹿島槍スポーツヴィレッジでのTTAの合宿。
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いやあ、きつかった。
4月30日金から5月2日までの3日間合宿なのだが、私が参加したのは2日目から。
5月1日の夜中の3時半に現地到着でそのまま仮眠。バイキングの朝食をとり、9時からのバイク練習に参加した。バイク練習はA班とB班に分かれ、A班は100キロ以上、B班は70キロを目途に山道を走りこむというもの。B班の参加者は、私を含め男子6名、女子2名(だったと思う)。
山道を走る、というのは、具体的には自転車で峠を登り、下ること。
そうした予想もまったくないままに、その世界に突入して、驚いた。うねうねとSカーブの続く長野の坂道を登るんだよ。始めは「まさか、無理だろう」と思ったが、もちろんホントである。何も考えずに必死でペダルを踏む。いつ登りきるのか、その先を越えると下りになるのではないか、そう思いつつ、ペダルをこぐが、カーブの先に更にキツい勾配が出現する。あれ~と叫ぶ。
速度は歩いているより遅くなる。立ったらもう終わりとも思うが、それより、この登り坂で足のバインダーをはずす余裕もない。ただただ、ハアハアと息をきらし、イチニイと足をこぐ。皆さんとはどんどん引き話されていくが、アスロニア取締役のTさんが、ついてくれ、「岩崎さんファイトです、もうすぐ頂上です」と声をかけてくれる。あのTさんのリードがなくては、早々にリタイアしいていた。Tさんのケアのおかげで知らなかった世界を広げることができた。感謝です。
それでもなんとか皆さんの待つ峠に、皆さんの拍手に迎えられて到着。だいぶ待たせたろうなあ、いやあ、恥ずかしい。そこで記念写真。
次いで下り坂。何も知らない人は下りはラクと思うかもしれない。私もそう思っていた。あさはかだった。これがつらい。何がつらいといえば、ブレーキを握る手がつらい。まず、カーブ前にはブレーキを握って減速するのだが、これが延々と続く。さらに、下り坂も、時速50キロを越えると、明らかに世界が変わる。身を切り裂く風が違う、飛んでいく風景が違う、ハンドルを通して感じる振動が違う。怖くて思わずブレーキは握りっぱなしとなる。手がドンドンと痛くなるが、痛いといって手を離すわけにはいかない。
登りは泣きながら足をこぎ、下りは悲鳴をあげて手を握る。生きた心地もしなかった。
午前中に一山越え、そばの昼食をとって二山目。こちらは更に勾配が急で、車も少ないこともあり、完全にジグザグ走行で休みなく下りにはいり、これが距離が長いんだ。必死にブレーキを握り続ける。いやあ、怖いのなんの。なんとか皆さんの待つ地点に下り終え、手の平をモミモミマッサージ。
小休止して、次の山にスタート。こちらは、当初はなだらかであったが、クルマの交通量が多い、幹線道路で、もちろんジグザグ走行はできないし、左右のブレも怖い。しかも、だんだんと傾斜が急となる。
「もう限界」と心のなかで悲鳴をあげていると、Tさんより「クルマを呼びましょうか」とのヒトコト。素直に「ハイ」と返事をした。クルマとはTTAの伴走車のこと。しかしTさんのお声掛けは絶妙のタイミングだったなあ。距離は70キロ。時間は4時過ぎかよく覚えてはいないが、私の体力としても、トレーニングの進行管理からしても、まさに限界点だったと思う。
あのあと皆さんは、更に一山、合計4山を越えて100キロとなったという。すごいことだ。とてもついてはいけませんでした。
こんなに長い時間、距離を走ったこと、こんなに坂を登ったこと、こんなスピードで下ったことは、もちろん初めて。大井埠頭でのトレーニングとはまったく違う世界がここにはあった。
これは自転車のなかでの特殊な世界なのか?
私にはこの体験で、初めて自転車に乗ったように思えた。
私なりにこの短期間の体験でわかったこと。
・自転車は「恐怖への克服」「メカのコントロール」も含む、まさに全身スポーツだ。
・身体への負担という面でも、スイム、ランを越える。本格的に身体を鍛えないとならない。
・普通にやって皆さんより大きく遅れる。基本的に衰えているんだなあ。
よく自転車はいくつになっても楽しめるスポーツという。
それを否定するつもりはない。のんびりとサイクリングを楽しむのも自転車の魅力でもあろう。
しかし私は、ささやかながら今回の体験で、自転車こそ「若者のスポーツ」という認識をいだいた。
はじけるように若々しい全身の筋力、それを支える血流を生み出す健康な心肺機能、それらがもたらす肉体の躍動感、恐怖を快楽として飛び込んでいく陶酔、最新鋭のメカを身体に直結してコントロールするサイボーグな自己拡大。。。。
私にはこれらはすべて若者の特権で、私にはもう失われてしまったもののように思えてならない。
下り坂をダンシングしながら、最大スピードで飛び込んでいく姿、登り道を高いケイダンスで悠然と走っていく姿に私は自転車というスポーツの魅力をみる。
しかし、それはもはや、私には過ぎ去った世界のように思える。
伴走車に乗り、車窓から見た風景のなんと美しいこと。
遠くに雪を残す険しい山々の連なり、急勾配の段々畑、そこに点描のように遠近感を際立たせる桜、まさに日本の原風景のような里山の光景がそこにあった。
まったく気がつかなかったなあ。
雪に桜 夢の世界に 息きらす
五月空 恐怖を越えて 前を向く
いい経験になった。
こんな世界があることを知った。
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