伊是名大会はスイム2キロ、バイク66キロ、ラン20キロの計88キロ。時間制限はスイムで1時間30分、全体で7時間である。で、その参加結果だが、スイムで2分19秒のタイムオーバー。ああ。陸にたどり着く寸前にタイムアップの放送を聴き、呆然として陸にあがり、応援してくれていたT嬢と言葉を交わし、ゆるゆるとゲートを越えると、足につけたチップが管理者の手ではずされた。
あずけていたサングラスを受け取り、ひとりゆっくりとウエットを脱ぎ、洗い場で砂を落とし、片付けが始まっているバイクのトランジッション(T1)で荷物をまとめ、係員に道を尋ねて、ゆっくりゆっくりとペダルを踏みながら、ランのトランジッション(T2)へと向かい、ここでも荷物をまとめる。さて、これからどうするか。離島では家に帰るわけにもいかない。考えもまとまらないうちに、もう、トップの選手がランのトランジッションがやってきた、第2位は岩田コーチではないか。
そうこうしているうちにT嬢もトランジッションにやってきて、次々とやってくる選手を応援し、すべての競技が終わるまでいることになった。
T嬢ありがとう。あなたがいたから、自分を取り戻し、支えることができた。ちなみにT嬢も本来は参加の予定であったが、バイク事故で鎖骨を骨折し、やむなくの応援となったが、持ち前の明るさで全選手を応援し、大いに大会を盛り上げた。今年の伊是名大会はT嬢によって記憶する参加者も少なくないだろう。
T嬢とは帰りのバスも隣の席で「来年は一緒に出てリベンジしましょうよ」と励まされた。本当にありがとう。でも「いやあ、どうかなあ~」と返事を濁してしまった。愛想なく率直な気分をぶつけてしまった。年甲斐もなく反省、反省。
いつも最下位グループでありながら、これまでは完走は果たしていただけに、落胆が大きい。
スイムは1キロ2周のコースで、他の参加者はほぼ2周を終えたところでようやく1周を終え、係員に「もう51分〇〇秒ですが」と声をかけられた。「行くところまで行きますよ」と2周目に入る。時間からすれば2周目は40分。そのペースで1周目を泳げば問題はなかった、やればできたではないか、といっても、それは「あとの祭り」というもので、結果が実力。
これだけ時間がかかってしまうのは、いつも同じで、すぐに休んで立ち泳ぎとなってしまう。それは心理的なことによるところが大きい。そんな状態をブレークスルーすることを期待して、あえて2キロに長丁場に挑んだのが今回の参加であった。「自分の身の丈からすれば、ややオーバーであるが、いってみよう」と思ってのことであったが、まさに「ややオーバー」の結果に終わってしまった。それなりに準備をしてきたつもりであるが、残念無念。
伊是名の海は透明で、泳ぐコースに沿ってずっとロープがブイで張られ、一定の距離で旗が立っている。波は多少はあったものの、とても泳ぎやすい状態であったと思う。
「わずか25メートルスイマーだったのに、2キロも泳げるようになったではないか」との納得のさせかたもあるのだが、なかなかそうした方向に気持ちは向かわない。「なんでできないのだろう。力がないなあ」とのタメ息となる。
ゆっくりと1時間でも2時間でも、休むことなく、海に包まれて泳ぎ続けるようになりたい。それであれば、結果としてのタイムは問うことは無い。あるいは、そうなれば時間制限にひっかかることはないのになあと、つい取りとめのない思いにとらわれてしまう。
そんな気分のなか、娘に落胆のメールを送ったらこんな返事がかえってきた。
「その年で全力で挑戦したり落胆したりできるなんて羨ましいことよ。前進してるしすごいじゃない。落胆もほどほど楽しんで、適当なとこで浮上して。なんなら週末孫の勇姿見においでよ。」
孫は男の子で週末は通っている幼稚園の運動会なのだ。彼は元気活発。いつも動きまわっているのだが、どうも動作がぎこちない。いかにも運動神経がなさそうに見えてしまう。そのぶきっちょな姿がかわいい。
一方、娘は幼稚園、小学校とずっと運動会の花形スターだった。それだけに、孫については「何をやっても一番遅いのよ」と嘆いて苦笑している。私は「いいじゃないか。それは彼の特性なんだよ」と慰めているのだが、逆に慰められてはいけないなあ。
といった具合で、今回は落胆した気分を綴っているうちに、T嬢といい、自慢の娘といい、ほぼ同じ年頃かとは思うが、図らずも「老いては子に従え」ということになった。はあ。
沖縄の 海であがいて 秋の訪れ
秋雨に 我が身をさすり 老いを知る
若い人に励まされ、素直に「偉いなあ」と思う。
「俺も年をとったんだなあ」を実感。
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